不易流行
私は「不易流行」という言葉が大好きです。
ご存じのとおり「不易流行」という考え方は、俳人の松尾芭蕉が唱えた考え方といわれており、
「いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねるものを取り入れていくこと」という意味だと理解しています。
一見相反する意味を唱えているように考えがちですが、私はファッションビジネスをするうえで、非常に大切な考え方だと思います。
人は生きていくうえで、また仕事をするうえで「安心」「安定」「安全」を求めます。
昨日と同じ今日、今日と同じ明日、変化を求めながらも変化を恐れる。ゆえに変わらないことで、「安心」「安定」「安全」を求める。
私もそうです。
変化するということは、非常に大変なことです。ある意味、今までの自分を自己否定することかもしれません。
今まで積み上げてきたものを見直す事は、考えただけでめんどくさいし、恐ろしいことです。
しかし、変化することは楽しいことでもあります。新しい体験や、新しい自分を発見することが出来ます。
見慣れた景色が一変し、見た事が無い新しい景色が出現する。少しワクワクします。
また「不易流行」とは、ただ変わればいいわけではありません。
あくまでも、いつまでも変わらない本質的なものの上に、変化を重ねていくことなのです。
要するに、変わらない本質的なものをきちんと持っていなければ、不易流行にはならないのです。
不易流行は難しいんです。
だから好きです。
一方、「付和雷同」という言葉が大嫌いです。
付和雷同とは、「自分にしっかりした考えがなく、他人の言葉にすぐ同調すること」「定見をもたずに、すぐ他人の意見に賛同すること」
我々のビジネスでいえば、よそがやっていることをすぐ真似る。売れているからすぐ作る。みんなが出るから、すぐ出店する。
自分たちの考えがない。要するにビジネスをするうえでの、本質的なフィロソフィーが無い。
成功するしないは別として、簡単です。
自分で考えなくていいんです。楽です。
でも、全然面白くありません。
我々は、不器用かも知れませんが「自分たちの、好きに忠実に」仕事をしてきました。
しかし少しマンネリ化していたかもしれません。
そして知らず知らずのうちに、自分たちがカッコ悪いと思っていた「安心」「安全」「安定」を求めていたのかも知れません。
この秋から来年の春にかけて、我々のブランドは「不易流行」していきます。
商品だけではありません。
お店も、サービスも少しずつかもしれませんが、変わっていきます。
本質的なものは忘れない中にも、変化を重ねる我々のブランドに、どうぞご期待ください。